相続手続きパーフェクトガイド
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相続人の1人が遺産を独り占めしている

遺産相続でありがちなのが、相続人の1人だけが遺産を独り占めしているパターンです。

特に親の面倒を見ていた相続人が、対価をもらう感覚で相続権を主張しながら独占するケースが見られます。 あるいは、それまで全く何もしてこなかった長男などが「自分は長男だから」と言うだけの理由で、相続財産を他の相続人に渡さないケースもあります。

相続人の1人が遺産を独占している例には、どのようなものがあるのでしょうか? また、そういったときの対策にはどのようなものがあるのでしょうか?

パターン1:遺産分割を拒む

トラブル

親や配偶者の死亡を知るとともに故人の財産を確保して、遺産分割協議に応じないパターンです。

他の相続人に先んじて通帳・家や土地の権利書・有価証券・金庫の鍵その他要するに金目の物を確保した相続人が、「早い者勝ち」「生前全て自分に譲ると言っていた」などの言い訳を使って他の相続人との対話を拒絶するような形式が見られます。

解決策1:遺産分割調停

遺産分割協議が相続人同士の話し合いであるのに対して、遺産分割調停は裁判所が間に入って取りまとめを行う遺産分割の話し合いです。

遺産分割調停の申し出を裁判所に行うと、争っている相手方に裁判所まで出頭することを促す通知が届きます。 申立人とその相手方は、指定された日に裁判所に出頭することになります。 出頭すると、裁判官や調停委員が各相続人の主張を個別に聞きます。それを元に合理的な解決策を導き出すのです。

調停の最初と最後の1回以外は各相続人が顔を合わせなくて済むので、相続人同士の感情からはじまるトラブルを防げます。 すべての相続人が調停案に同意したら調停成立です。確定した調停の内容は裁判の確定判決と同じ効力があります。

解決策2:遺産分割審判

調停が不調に終わるか相手方が調停の出頭に応じない場合は、遺産分割審判に移行します。

遺産分割審判では、通常の裁判と同じような形式で当事者の主張が行われ、それに対する立証も行われます。 なお、遺産分割審判に欠席すると5万円の過料が発生しますが、適用されることはほぼありません。 実質的に罰則がないので欠席する当事者もいますが、裁判所は法律で定められた遺産分割配分に従う傾向があるので、遺産の独り占めを目論む当事者は出廷しなければ不利になります。

審判を行えば、少なくとも自分の相続財産がゼロという事態は防ぐことができるはずです。

パターン2:遺言を盾に取る

遺言がある場合に発生します。 「誰々に財産の全てを相続させる」という遺言があったときに、指定された相続人が遺言の文面通り「財産は全て自分のものだ」として遺産分割協議に応じないケースです。

解決策1:遺言の無効を主張する

まずはその遺言が有効なのかを確認します。 遺言には一定の要件があります。例えば、「2017年11月吉日」などと具体的な日付がないものは無効です。 また、遺言は手書きである必要があります。パソコンで作ったものはアウトです。 手書きであっても、被相続人が書いた文字かどうかはわかりません。場合によっては筆跡鑑定を行う必要があります。

遺言が被相続人本人の字であっても、遺言作成時に認知症が進行していたなど判断能力に問題がある場合は、遺言が無効になることもあります。 遺言が有効か無効かは、裁判で争うことが多いようです。

解決策2:遺留分減殺請求を行う

遺留分とは、被相続人の配偶者、子孫、親や祖父母に認められる最低限度の相続分です。 法定相続分の半分が遺留分となります。なお、兄弟姉妹には遺留分がないので気をつけてください。

仮に遺言で被相続人の財産全てを1人に継がせると指定されていても、遺留分については各相続人がそれぞれ取り戻すことができます。 遺留分は一般的な債権と同じように裁判外で請求しても構いませんし、裁判所を通してもかまいません。 裁判所による手続きには、遺留分減殺調停と訴訟があります。 遺留分減殺調停は遺産分割調停と似たような手続きです。これが不調に終わったら訴訟を提起して遺留分を取り戻すことになります。

パターン3:家督相続を主張する

「長男が家を継ぐのが筋だ」「家を継ぐ以上、相続財産は全て長男のものだ」などと、家督相続を主張して長男が被相続人の財産全てを相続しようとするものです。

解決策1:家督相続制度は廃止されたと伝える

確かに家督相続は法的に認められており、長男が全ての財産を相続できました。 しかしこれは遠い過去の制度であり、既に廃止されています。

法的には、長男であっても末っ子であっても同じ割合で相続を主張できます。まずは家督相続制度の廃止を相手に伝えましょう。

解決策2:調停や審判を行う

どうしても相手が納得しない場合は、遺産分割調停や遺産分割審判を行ってください。

遺産

まとめ

相続人の1人が遺産を独り占めしているときには、裁判所を通した調停や審判または訴訟などの手段で対抗できます。

相続人のうち何人かがグループを組んで他の相続人を排除している場合にも応用できる解決法なので、いざという時のために覚えておいてください。

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